コラム

外国人が日本で相続を受ける場合は?

〜法律・手続き・税金の注意点を行政書士が解説〜

日本に住む外国籍の方が「親や配偶者が亡くなり、相続人となった」場合、日本国内でどのように手続きを進めればよいのか、不安に感じることも多いでしょう。ここでは、外国人が日本国内の財産を相続するケースを中心に、以下の項目ごとに解説します。

1、法律的な考え方(準拠法)

●原則:相続全体は「被相続人の本国法」によって決まる

日本では、相続に関しては被相続人(亡くなった方)の国籍国の法律(本国法)を適用するのが原則です(通則法36条)。

例:日本に住む中国人が亡くなった場合、中国の相続法に従って誰がどれくらい相続するかを決定します。

●例外:日本の不動産については「日本法」が適用される可能性(一概に言えない)

不動産など物権の帰属は、その物の所在地の法律(=日本法)で処理される傾向があります(通則法38条)。

2、必要な手続き(相続登記や口座解約)

相続財産が日本国内にある場合、以下のような手続きが必要です

財産の種類必要な手続き
不動産法務局で相続登記(所有権移転)
銀行口座金融機関での相続手続き(払戻・解約)
株式・証券証券会社や信託銀行での名義変更
預貯金相続人全員による遺産分割協議書が必要
Warning

外国人相続人の本人確認や印鑑証明が日本で取得できないため、以下のような書類が必要です

◦宣誓供述書(大使館や公証役場発行)

◦パスポートの写し

◦母国の身分証明書・出生証明書など(翻訳・アポスティーユ付き)

3、相続税の課税について

【前提】外国人相続人も、日本にある財産を相続すれば相続税の対象になります。

被相続人または相続人の状況相続税の課税範囲
被相続人 or 相続人が日本に住所あり(10年以内)日本国内外すべての財産
被相続人・相続人とも日本に住所なし日本国内の財産のみが対象

● 相続税の申告・納税は、被相続人の死亡後10か月以内。

→ 相続人が海外在住の場合、日本での代理人(納税管理人)の届出が必要になることもあります。

4、遺言がある場合の注意点

◦被相続人の母国法で有効な遺言であっても、日本で相続登記や金融手続きをするには、日本法上の「方式」に合致しているかの確認が必要です。

◦外国語の遺言書は、翻訳+検認が必要になります。

まとめ

Success

外国人でも、日本にある財産を相続することは可能です。しかし、準拠法の問題、税務、登記、書類の翻訳・認証など、多くのハードルがあります。

特に相続税や相続登記の期限は決まっているため、早めの専門家相談が重要です。