コラム

【前編】帰化申請とは?基本知識と最初に知っておきたいこと

「日本で暮らし続けるなら、次のステップへ――。」

日本に長く住み、働き、家族や友人と過ごすうちに、「この国で、もっと深く生きていきたい」と思ったことはありませんか?

そんなあなたにとって、日本国籍を取得する「帰化申請」は、新たな未来を切り開く一歩になります。
とはいえ、帰化には多くの準備と心構えが必要です。
何から始めればいいのか、どんな条件を満たさなければならないのか――不安に思うことも少なくないでしょう。

この記事では、帰化申請に必要な基本知識と、最初に押さえておきたいポイントを、わかりやすくまとめました。
これから帰化を目指す方のために、しっかりサポートできる内容をお届けします。

まずは、帰化申請の全体像を一緒に確認していきましょう。

1、帰化とは? 〜日本国籍を取得する手続き〜

帰化とは、外国人が日本国籍を取得するための手続きを指します。
帰化が認められると、その方は日本国籍を持つ日本人として、自由に生活や仕事をすることができるようになります。

ここで注意したいのが、永住許可との違いです。

 ◦永住許可:外国籍のまま、永続的に日本に住める権利

 ◦帰化:日本国籍を取得して「日本人」になる

つまり、帰化は単なる在留資格の変更ではなく、国籍そのものを変更する重大な手続きです。

2、帰化申請をするメリット・デメリット

【メリット】

ビザ更新が不要になる
→ 例:これまで3年ごとに在留資格更新していた人も、帰化すれば更新不要になります。

自由に就労・居住が可能
→ 例:公務員試験や国家資格(行政書士、弁護士など)に挑戦できるようになります。

海外渡航がスムーズになる
→ 例:日本のパスポートは世界最強クラス。多くの国へビザなし渡航が可能になります。

選挙権を得て社会参加できる
→ 例:地方・国政選挙で投票ができるようになります。

【デメリット】

母国の国籍を失う可能性がある
→ 例:中国や韓国など、二重国籍を認めない国も多く、元の国籍を放棄しなければならないことがあります。

母国との関係手続きが発生する

→ 例:本国に残した不動産、年金、戸籍の手続きが必要になることもあります。

文化・法律上の適応が求められる

→ 例:日本の法律や慣習に完全に従うことが求められます。

3、帰化申請できる基本的な条件

帰化には、法律で定められた条件(帰化要件)があり、これを満たしていることが必要です。主な要件は以下のとおりです

要件内容ポイント緩和される場合
住所要件引き続き5年以上、日本に住所を有すること留学ビザや短期滞在は除く。
就労ビザ・永住・配偶者ビザなどが対象
日本人配偶者等は短縮
(通常1年以上の日本滞在でOK)
能力要件原則18歳以上で、行為能力があること成年に達していない場合、原則単独申請不可なし
素行要件素行が善良であること交通違反や税金未納でも影響。
軽微な違反の積み重ねも注意
なし
生計要件安定した収入・生活基盤があること本人または家族の収入でも可
(例:専業主婦でも可)
なし
国籍要件原則、元の国籍を離脱できること二重国籍を許さない国(日本)に合わせる必要あり一部特例あり
(国籍離脱が極めて困難な場合など)
思想要件日本国憲法を尊重し、反社会的勢力に属していないこと反政府活動、犯罪組織への関与は致命的なし
補足説明

 ◦素行要件は意外に見落とされがちで、例えば交通違反の累積でも不許可になることがあります。

 ◦生計要件は本人収入に限らず、家族単位で審査されることもあるため、専業主婦(夫)でも問題ないケースもあります。

 ◦国籍要件は、国籍離脱手続きが極めて難しい場合に特例措置が考慮されることもあります。

4、帰化できる人の代表例

帰化申請を検討できる方には、次のようなケースがあります。

区分具体例特徴要件緩和の有無
永住者永住権を取得して日本に10年以上住んでいるブラジル国籍の方すでに安定的な在留が認められているため、帰化審査も比較的スムーズ原則なし(通常要件通り)
日本人の配偶者日本人男性と結婚して5年、日本で生活しているフィリピン国籍の方日本人との家族関係があるため、通常より要件が緩和される住所・滞在期間要件が短縮(例:婚姻後3年、日本滞在1年以上で申請可)
定住者日系3世として日本に来たペルー国籍の方(10年以上在留)日系人など特別な事情で定住許可を得たケース原則なし(通常要件通り)
技術・人文知識・国際業務ビザ保持者インド国籍のITエンジニア、日本で7年間就労中専門職として長期間日本に在住し、安定した生活基盤を築いている原則なし(通常要件通り)
日本生まれ・日本育ちの外国籍の子供日本で生まれ育った韓国籍の子供(18歳)日本文化への適応が進んでいると判断されやすい特例あり(生まれてから引き続き日本居住の場合は条件緩和)

これらの方は、それぞれ状況に応じた準備が必要ですが、帰化申請への道は開かれています。

5、帰化申請に向けた心構え

帰化は単に「書類を提出すれば終わり」という簡単なものではありません。

【具体的な負担イメージ】
  1. 書類準備が非常に大変
    • 例:出生証明書や親子関係証明を母国から取り寄せ、日本語に翻訳し、公証を取る必要がある場合も。
  2. 面接がある
    • 例:法務局で日本語による質疑応答。
      「家族構成を日本語で説明してください」「仕事は何をしていますか?」など実際の質問も多岐にわたります。
  3. 審査期間が長い
    • 例:書類提出から結果が出るまで、1年以上かかるのが普通。途中で追加書類を求められることもあります。

心と時間の両方にしっかり余裕を持って臨むことが大切です。

【次回予告】帰化申請の流れと手続きの注意点

次回【後編】では、実際に帰化申請を進める場合の具体的な流れや、手続き中に注意すべきポイントを詳しく紹介します。

「帰化申請を考えているけれど、どこから始めたらいいかわからない」という方は、ぜひ後編もご覧ください!