コラム

【後編】帰化申請の手続きの流れと注意点

前編では、「帰化申請とは何か?」「どんな人が申請できるのか?」といった基本的な知識をご紹介しました。
今回の後編では、実際に申請を進めるためのステップや注意点を、具体例を交えながら詳しく解説します。

帰化は一大イベントです。この記事を読みながら、自分が今どの段階にいるのか、どこから準備を始めるべきかを整理してみましょう。

1、帰化申請の流れ【全体像】

帰化申請の基本的な流れは、以下の通りです。

①法務局への事前相談

まずは、住所地を管轄する法務局(国籍課)に電話で予約を取り、相談に行く必要があります。
この段階では、本人の在留資格・経歴などから「申請可能かどうか」の判断を受けます。

【具体例】

「永住者で10年在住、日本語も問題ない」という方であれば、すぐに書類準備に入れることが多いです。
一方で、「収入が安定していない」「在留資格が短期」などの場合は、準備期間が必要と伝えられることもあります。

②必要書類の収集

法務局で相談後、「個別に必要な書類のリスト」が渡されます。これをもとに、書類を集めていくことになります。

【主な書類の例(※人によって異なります)】

種類書類例
本人関係在留カード、パスポート、住民票、履歴書
出生・家族関係出生証明書、婚姻証明書(母国のもの+翻訳)
生計証明源泉徴収票、確定申告書、給与明細
納税状況納税証明書(市県民税、国税)、国民年金保険料の支払い状況など
その他日本語能力の証明、勤務先証明書など
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書類の一部は母国の機関で取得・翻訳・認証が必要なため、かなり時間がかかります。

③書類提出(申請)

必要書類がすべて揃ったら、再び法務局へ予約して、申請書類一式を提出します。このとき、その場で不備があると受け取ってもらえないこともあります。書類の翻訳や形式に不安がある場合は、行政書士など専門家に事前確認してもらうと安心です。

④面接と実地調査

提出後、数か月~1年以内に本人への面接があります。法務局の担当官が直接ヒアリングを行い、生活状況を確認します。

【よく聞かれる質問例】

 ◦どうして帰化を希望するのですか?

 ◦現在の職業・収入・家族構成について教えてください。

 ◦日本の祝日や文化、法制度を理解していますか?

 ◦ご両親や兄弟の職業・住所は?(海外在住でも)

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面接時は、日本語での受け答えが基本です。内容が理解できない場合、審査に不利になる可能性があります。

⑤審査期間

帰化申請の審査は非常に丁寧に行われます。提出から許可まで、早くても10か月、平均で1年ほどかかります。

この間に追加書類を求められることもあります。審査が進行しているかどうかは、本人からは基本的に確認できません。

⑥帰化の許可・不許可の通知

審査が完了すると、法務局から通知が届きます。

 ◦許可された場合:官報に公告 → 市区町村役場で戸籍編入 → 日本国籍取得

 ◦不許可だった場合:理由は基本的に説明されません。再申請は6か月~1年空けるのが一般的です。

【許可後の手続き】

 ◦パスポートの切替(旧国籍の返納)

 ◦マイナンバー・保険証の変更

 ◦国籍変更に伴う諸手続き(銀行、勤務先など)

2、よくある不許可の理由とその対策

帰化申請では、「必要書類を提出すれば通る」というわけではありません。実際には多くの申請が不許可になるケースもあり、原因のほとんどが「基本的な注意不足」です。ここでは、実務で特に多い不許可理由と、それに対する具体的な対策を解説します。

①税金や社会保険料の未納・滞納

▷ なぜ不許可になるのか?

納税や保険料の支払いは、日本で暮らす上での基本的義務です。帰化においては「きちんと社会のルールを守っているか」が重要視されるため、未納・滞納は即マイナス評価です。

▷ 具体例

 ◦住民税を2年連続で未納、督促状を無視していた

 ◦国民年金を半年以上滞納していた(フリーランスで収入が不安定)

▷ 対策

 ◦未納分を完納してから申請すること(最低でも6か月以上の連続納付実績が望ましい)

 ◦納税証明書・年金支払状況の証明書を取得し、自分の状況を把握する

 ◦滞納があった場合は、その理由と改善策(現在は自動引き落としにしている等)をきちんと説明できるようにしておく

②軽微な交通違反の繰り返し

▷ なぜ不許可になるのか?

「たかが交通違反」と思われがちですが、帰化審査では法律遵守の姿勢が問われます。違反内容が軽くても、回数が多いと「素行不良」とみなされることがあります。

▷ 具体例

 ◦スピード違反3回、駐車違反2回、信号無視1回(過去5年間で)

 ◦携帯電話のながら運転で反則金処分 → 繰り返し違反

▷ 対策

 ◦違反履歴は5年程度さかのぼって確認されます。運転記録証明書を自動車安全運転センターから取得しよう

 ◦多数違反がある場合は、一定期間(1年〜2年)運転に注意し違反ゼロを継続してから申請

 ◦運転自体をやめる、免許返納という選択も検討可(高齢者や専業主婦など)

③収入の不安定さ・扶養実態があいまい

▷ なぜ不許可になるのか?

帰化では「この人は今後も日本で安定して暮らせるか?」という視点で生計要件が審査されます。そのため、収入が低すぎたり、雇用形態が不安定だったりすると、リスクと判断されます。

▷ 具体例

 ◦月収15万円で、アルバイトを転々としている

 ◦自営業だが、確定申告で赤字が続いている

 ◦配偶者に扶養されているが、扶養者の収入証明が曖昧

▷ 対策

 ◦扶養されている場合は、扶養者の収入証明・納税証明書をしっかり添付

 ◦正社員就職や収入安定の実績を数か月作ってから申請する

 ◦自営業の場合は、利益が出ている確定申告書3年分+事業の安定性を示す資料(契約書、預金通帳等)を揃える

④嘘の申告・書類の虚偽記載

▷ なぜ不許可になるのか?

帰化申請では「誠実さ」が非常に重視されます。意図的でなくても、虚偽申告や矛盾があると「信用できない」と判断されます。

▷ 具体例

 ◦実際には退職しているのに、まだ勤務中として申告

 ◦所得金額を少なく記載(扶養控除狙い等)

 ◦家族構成を一部省略・隠していた

▷ 対策

 ◦不利な内容でも正直に記載することが原則(嘘を言ってもバレます。)

 ◦説明が難しい場合は、事前に専門家に相談して適切な記載方法を検討する

 ◦面接で聞かれる内容と矛盾しないよう、提出書類・履歴書・実際の生活状況を統一しておく

⑤日本語能力の不足(面接対応不可)

▷ なぜ不許可になるのか?

法務局での面接は基本的に日本語で行われます。簡単な日常会話や生活についての質問が理解できないと、「社会への適応力が低い」と判断されます。

▷ 具体例

 ◦面接中に質問の意味が分からず、会話にならない

 ◦「仕事は何をしていますか?」「家族構成は?」といった基本的な問いに答えられない

▷ 対策

 ◦日本語能力検定(JLPT)N3レベル程度(小学校3年生と同等程度)の会話力を目安にする

 ◦日常会話レベルでの練習を積む(特に生活・仕事・家族に関する語彙)

 ◦自信がない方は、行政書士に模擬面接を依頼するのも効果的

まとめ

Success

帰化申請は、時間も労力もかかる手続きですが、それだけに、許可されたときの達成感や安心感は大きなものがあります。重要なのは、「準備段階でいかにミスを防ぐか」です。
書類の正確さ、生活の安定、素行の良さ――一つひとつの積み重ねが、許可への近道になります。

「自分でもできるか不安」「どこから手をつければいいか分からない」という方は、ぜひ一度、専門家にご相談ください。

📌 前編・後編を通して読んでいただいた方へ
「帰化申請を進めたい」と思ったときが、第一歩を踏み出すチャンスです。
必要な準備、注意点、そして正しい知識をもとに、しっかり未来を描いていきましょう。