年収が低いとビザは出ない?就労ビザで審査される“収入水準”と不許可の回避ポイント
収入が少ないとビザは不許可になるのか?
就労ビザ(「技術・人文知識・国際業務」など)を申請・更新する際、「給与の低さ」を理由に不許可になったという声が少なくありません。実際に入管では、単に職務内容や学歴だけでなく「報酬(年収)」も審査項目のひとつとして重要視されています。この記事では
〇就労ビザで求められる年収水準とは?
〇給料が低くても許可されるケースはあるのか?
〇不許可を回避するためのポイントは?
といった点を、行政書士の視点から最新実務も交えて解説します。
そもそも就労ビザにおける「報酬」の考え方とは?
入管法の基準では、就労ビザの取得にあたり、次のような原則が明記されています。
「日本人が従事する場合に受ける報酬と同等額以上であること」
(出入国在留管理庁「在留資格認定証明書交付要領」より)
つまり、同じ仕事を日本人がする場合と比べて、明らかに低い給与であれば「不当労働」や「在留目的に合致しない」と判断される可能性があるということです。
実際の「年収の目安」はいくら?
一般的な目安(フルタイム就労の場合)
| 学歴・職種 | 月収の目安 | 年収の目安 |
|---|---|---|
| 大卒・一般事務系 | 約20万円~ | 約240万円~ |
| 技術系(IT・設計など) | 約23万円~ | 約276万円~ |
| 通訳・翻訳・語学指導 | 約22万円~ | 約260万円~ |
※地域や業種、年齢により多少の差あり。
※最低賃金や労基法違反の場合は即不許可の可能性が高いです。
実務で多い「不許可になりやすい年収の例」
月給20万円だが、交通費や残業代が含まれていた
➤ 不許可の理由
表面上は「月給20万円」でも、基本給が15万円+通勤手当+みなし残業代5万円といった内訳の場合、「実質的な報酬が低い」として不許可になり得ます。
➤ ポイント
- 入管は「基本給ベースでの報酬水準」を重視。
- 残業代・手当込みの金額は「変動可能性がある」ため、安定収入としてはカウントされにくい。
- 業務内容に比して報酬が不自然に低いと「偽装雇用」を疑われることも。
副業を前提とした年収モデルだった(正社員+業務委託)
➤ 不許可の理由
本業では月給12万円程度、他に翻訳業務を業務委託契約で行っており、合算すると年収250万円超だったが、「主たる在留活動」である雇用契約だけでは基準に達していない」として不許可。
➤ ポイント
- 就労ビザの審査では、主たる雇用契約一本で生活できるかどうかが判断軸。
- 副業や兼業は「資格外活動」に該当しうるため、原則、審査の対象外として扱われる。
- 「副業込みで生活可能」は理由にならないと考えた方が無難。
不許可にならないためのチェックポイント
ポイント①:報酬額は「日本人基準」と同程度か?
〇同一業種の日本人従業員の給与水準と比べられます
〇中小企業でも、最低年収240万円~がライン。
ポイント②:報酬の「内訳」が適切か?
〇基本給が極端に低く、手当で調整されているケースは要注意
〇「固定残業代」「役職手当」なども入管に詳細説明が必要
ポイント③:雇用契約書に具体的な報酬額が記載されているか?
〇「未定」「業績により変動」などの表現はNG
〇月額・年額・支払い方法・就業時間なども明記が必要
最新実務傾向
近年の審査では、特に以下の点が厳格化されています:
〇中小企業・業界未経験人材の採用において、報酬が低すぎると不許可率が高い
〇「試用期間中は給与を減額」という契約には要注意
〇コロナ禍後の雇用安定性が重視され、報酬水準が重視されやすくなっている
🔍【最新事例】
2024年末、大卒外国人を月給18万円で雇用した企業の認定申請が「報酬不適切」として不許可。
→ 再申請で基本給を20万円に修正し、補足理由書で報酬の地域水準との整合性を説明した結果、許可に至る。
よくある質問(FAQ)
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新卒採用で年収が低めでも大丈夫?
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一定の説明があれば可能。ただし、大卒の正社員で月給18万円未満は注意。新卒初任給の水準と比較されます。
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手取りが20万円なら大丈夫ですか?
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入管で審査されるのは「額面金額」です。交通費・残業代・住宅手当を除いた基本給が重要です。
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業務委託や副業を含めた年収でも通りますか?
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原則として、「主たる雇用契約の給与水準」で審査されます。複数契約は不許可の原因になることも。
