海外支店から日本へ転勤する場合の就労ビザの取り方
海外にある現地法人・支店から日本本社へ社員を転勤させるケースは、グローバル企業では一般的になっています。しかし、日本への転勤には就労ビザ(在留資格)の取得が必要であり、手続きや必要書類、審査のポイントには注意が必要です。本記事では、2025年現在の最新の制度に基づいて、海外支店からの転勤時に必要な在留資格や手続き、具体的事例をわかりやすく解説します。
どの在留資格が該当する?「企業内転勤」とは
海外からの転勤者が日本で働く際にもっとも多く利用されるのが「企業内転勤」の在留資格です。この資格は、外国にある本店・支店・子会社・関連会社から、日本国内の同一企業グループ内の事業所へ異動してくる外国人社員に適用されます。
取得までの流れと必要書類
- 事前準備(転勤対象者の役職・仕事内容の確認)
- 在留資格認定証明書交付申請(約1~3か月)
- 日本大使館・領事館での査証申請
- 来日後の在留カード交付
必要書類の例
◦在留資格認定証明書交付申請書
◦派遣元・受入企業の関係を示す資料(組織図や取引関係図)
◦辞令(転勤命令)や職務内容を説明する書類
◦企業の概要書類(会社案内や決算書等)
企業内転勤ビザの要件と注意点
◦転勤元と転勤先が「同一企業グループ」であること
◦転勤元企業で継続して1年以上の勤務実績があること
◦日本での活動が「技術・人文知識・国際業務」に該当すること
◦報酬が日本人と同等以上であること
転勤元の企業規模や事業の実態について入管の審査が厳しくなる傾向があります。特に実体の薄い現地法人からの転勤は慎重な審査対象です。
なぜ海外支店からの転勤にビザが必要なのか?
企業グループ内の異動とはいえ、日本で就労するには「在留資格」が必要です。これは日本の出入国管理法に基づくもので、たとえ同じ会社の人間であっても、外国籍の人が日本で働く場合には適切なビザを取得しなければなりません。2024年の法改正以降、企業内転勤ビザにおける「転勤元との関係性」や「職務内容の明確さ」に対する審査は一段と厳しくなっています。特に中小企業の場合、グループ企業としての実態や過去の転勤履歴が不十分だと不許可となる例も増えています。
具体的事例紹介(3ケース)
事例①:インドのソフトウェア企業 → 日本法人にPMとして転勤
インドのエンジニアAさんは、現地法人で5年以上勤務し、日本法人でのプロジェクト責任者に任命されました。辞令、職務内容の詳細、日本側プロジェクトの資料を整えて申請し、認定証明書は2か月で交付されました。
事例②:アメリカの親会社 → 日本支社へマーケティング部門長として出向
Bさんは10年の経験を持つ部門長。雇用契約書の代わりに役職・報酬に関する詳細資料を提出し、「企業内転勤」扱いで許可されました。
事例③:ベトナムの物流子会社 → 日本拠点へ業務支援で転勤
Cさんは現地で物流管理に従事。在籍1年の給与明細、日本語訳の業務説明書を提出し、転勤命令とあわせて在留資格を取得しました。
よくある質問(FAQ)
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転勤元と受入先の会社名が違っても大丈夫?
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子会社・関連会社としての関係が明確であれば問題ありません。出資比率や経営支配関係の証明資料が重要です。
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副業や転職はできますか?
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企業内転勤ビザは活動先企業に限定されます。転職や副業はできません。
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初回のビザ期間は?
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多くの場合1年ですが、実績や役職によっては3年・5年が認められることもあります。
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英語書類だけで申請できますか?
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できません。すべての外国語文書には日本語訳を添付する必要があります。社内翻訳でも問題ありませんが、内容の整合性が重要です。
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現地法人が新設されたばかりですが、転勤できますか?
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可能ですが、企業の実態や転勤の必要性を詳細に説明する必要があります。初年度は特に審査が厳しくなります。
まとめ(チェックリスト)
✅ 企業内転勤ビザは「同一企業グループ内の転勤」であることが条件
✅ 転勤元での1年以上の勤務実績が必要
✅ 日本での職務内容が「技術・人文知識・国際業務」に該当するか確認
✅ 企業間の関係性と職務内容は詳細な書類で裏付ける
✅ 近年は中小企業・新設法人に対する審査が厳しくなっている点に注意
