日本での“副業”は就労ビザで認められる?資格外活動の範囲と注意点
はじめに
日本では政府の方針として「副業解禁」が進み、多くの日本人が会社員として働きながら、別の仕事にもチャレンジしています。しかし、外国人労働者の場合は、在留資格によって「できる仕事の範囲」が厳しく定められており、日本人と同じような感覚で副業を始めると、思わぬトラブルに発展する可能性があります。この記事では、就労ビザを持つ外国人が副業をする際に注意すべきポイントを、実際の事例や最新の制度をもとに解説します。
1. 就労ビザの原則:副業はNG?
たとえば「技術・人文知識・国際業務ビザ(技人国)」は、取得時に申請した会社・職務内容での活動しか認められていません。活動先や業務内容を変える場合は、別途「在留資格変更許可」または「資格外活動許可」が必要です。つまり「本業以外の仕事をする=資格外の活動」となるため、無許可で副業をしていると在留資格の違反となり、更新が不許可になることや、最悪の場合は退去強制処分の対象になることもあります。
2. 認められる副業・認められない副業の具体例
副業が認められるかどうかは「本業との関連性」「業務の内容」「就労形態(雇用・委託など)」によって異なります。
● 認められるケース
- 翻訳者がフリーでの翻訳業務を受託する
- ITエンジニアが副業でWebサイト制作
- 大学講師が週末に有料セミナー登壇
● 認められないケース
- IT技術者がコンビニや飲食店での接客をする
- 通訳者が清掃や倉庫作業のアルバイト
- 営業職がUberEats配達員など「単純労働」にあたる業務
● 処分例
近年では、資格外活動の許可を得ずにウーバー配達をしていた外国人に対し、在留資格取消処分が下された事例も報告されています。
実際の事例から学ぶ“副業トラブル”
ケース1:SEの傍ら、カフェ勤務 → 就労ビザ更新が不許可
背景:ベトナム出身のCさんは、都内のIT企業で正社員として働いており、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を保有。平日はIT業務に従事していたが、生活費や送金のため、週末に友人が経営するカフェで接客業務を始めた。
問題点:Cさんは接客業務について、入管に資格外活動許可を申請していなかった。申請どころか「本業とは関係ない副業がNG」という認識自体がなかったという。
結果:在留資格更新の際、入管からの質問に正直に副業の事実を話したところ、就労ビザの「活動範囲違反」と判断され、更新は不許可に。数か月後に出国を余儀なくされた。
ケース2:副業で翻訳業務 → 適切な許可で問題なし
背景:中国出身のDさんは大学の研究室で技術職員として勤務。「技術・人文知識・国際業務」ビザで在留していたが、かつての専門分野である翻訳業務の依頼を受ける機会があり、副業として対応を検討。
対応:Dさんは大学側に副業許可を相談したうえで、入管に対し「個別型の資格外活動許可」を正式に申請。副業先との業務契約書や業務内容の詳細、翻訳業務が専門性のある作業であることなどを明確に提出した。
結果:申請は約3週間で許可され、問題なく翻訳業務も継続。次回の更新時も副業の内容と許可を説明し、在留資格は無事に更新された。
ケース3:業務委託で週末デザイン → 許可取得を怠り警告
背景:ネパール出身のEさんは、都内のWeb制作会社でフロントエンドエンジニアとして勤務中。週末に友人の立ち上げたベンチャー企業のロゴ・LPデザインを個人で請け負い、副収入を得ていた(業務委託契約)。
問題点:Eさんの副業はIT系ではあるが、会社外での業務であり、正式な資格外活動許可は得ていなかった。更新の際、税務資料に副収入が記載されていたことから、入管に詳細を確認され、副業の事実が発覚。
結果:更新は認められたものの、「今後は資格外活動許可を適切に取得するように」と書面で指導。再発時には不許可の可能性もあると警告を受けた。
ケース4:技能実習生の夜間コンビニ勤務 → 実習取り消し・強制退去
背景:ベトナムから技能実習制度で来日したFさんは、建設会社に配属されていたが、日中の実習後に深夜コンビニでアルバイトをしていた。給与明細には本業のほかに副収入が記載されており、同じ宿舎の実習生から通報が入った。
問題点:技能実習制度は「実習先での技能習得」のみに限定されており、副業・アルバイトは一切禁止。Fさんは生活費や母国の家族への送金を理由に副業していたが、それは制度上許されない。
結果:監理団体と入管の調査により実態が発覚。実習計画は取り消され、技能実習資格は失効。数週間後に出国命令を受け、母国に強制帰国となった。
こうした事例は、「副業くらい問題ないだろう」という油断や、制度の理解不足によって起こります。日本の在留資格制度は非常に厳密であり、「許可がない=違法行為」と判断される可能性があるため、軽く考えず、専門家に相談しながら対応することが重要です。
資格外活動の申請方法と注意点
● 包括型と個別型の違い
- 包括型:留学生や家族滞在者が対象。28時間以内なら業種問わず可能。
- 個別型:就労ビザ保持者が対象。副業ごとに申請が必要で、審査を受ける。
● 必要書類
- 理由書(副業の目的と必要性)
- 雇用・委託契約書の写し
- 本業との兼ね合いを示す資料(就業時間など)
※注意:許可が下りる前に働き始めてはいけません。無許可の活動は違法行為となります。
よくある質問(FAQ)
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副業でも報酬がなければOK?
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無報酬でも「労働性」が認められればNGです。ボランティアを装った実質労働は認められません。
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クラウドソーシングも違反になる?
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内容によります。例えば、技人国の在留資格の場合、その範囲外(例:単純作業)の業務であれば違反とみなされる可能性があります。
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副業でビザ更新に影響は出る?
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はい。特に無許可で継続的に副業していた場合は、更新が不許可になる可能性が高いです。
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資格外活動許可の審査期間は?
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通常は2〜4週間。時期によっては1〜2か月かかることもあります。
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本業の会社に知られず副業できる?
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就業規則で副業を禁止している企業もあるため、トラブルになることもあります。入管も影響を重視。
違反のリスクと今後への影響
- 在留資格の更新が不許可になる
- 永住・帰化申請に悪影響
- 違反歴が残ると再入国が拒否される可能性
- 企業側も調査対象となることがある
