コラム

配属予定が変わったら?内定後に勤務先が変更された場合のビザ対応

外国人を採用した企業が、採用後に配属先を変更するケースは少なくありません。しかし、在留資格(ビザ)においては「勤務先」や「職務内容」が非常に重要な審査対象となるため、慎重な対応が求められます。この記事では、企業が内定後に配属変更を行った場合のビザへの影響、具体的な事例、対応策を解説します。

在留資格と勤務先の関係

「技術・人文知識・国際業務」などの就労ビザでは、申請時に記載された勤務先と職務内容が活動の基準となります。内定時の情報と実際の配属先・職務が大きく異なる場合、在留資格認定証明書が不許可になったり、入国後に更新・変更が認められない可能性があります。

たとえば以下のような場合に、入管から「活動内容の不一致」や「虚偽申請」と見なされることがあります:

  1. 入社時の配属先が大きく異なる(例:東京本社 → 地方の工場)
  2. 雇用契約が変更された(正社員 → 業務委託)
  3. 職務内容に専門性がない(IT申請 → 単純作業)

実際にあった事例

事例1:営業職でビザ申請 → 実際は工場勤務で更新不許可

中国出身のAさん(20代後半)は、東京に本社を持つ大手製造業から「営業職」で内定を受けました。就労ビザも「技術・人文知識・国際業務」で申請し、認定証明書を取得。ところが、入社直前になって「現場経験も必要」と言われ、実際の配属先は地方工場での製造ライン作業に。

半年後、在留資格更新の際、業務報告書と勤務記録を求められ、「申請内容と実際の業務が著しく異なる」と判断され更新が不許可に。本人は帰国せざるを得ず、企業側も新たな人材を探す羽目になりました。

🔍 ポイント:「就労ビザで認められた活動内容」と異なる業務(=単純作業)を行わせると、不許可リスクが非常に高くなります。

事例2:グループ会社への配属変更でビザが無効に

インド人のBさんは、あるIT系持株会社(A社)から内定を受け、「プログラマー職」で就労ビザを申請。ところが入社1週間前になり、「実際の勤務先はグループ会社のB社になる」と通知されました。

法人登記上はA社とB社は別法人で、入管に提出した就労先とも異なったため、「勤務先の相違」によって在留資格認定証明書が無効扱いに。企業側が急きょB社名義で再申請を行うこととなり、就労開始が2か月以上遅れる結果に。

🔍 ポイント: 同じグループ内でも法人が違えば別の在留資格申請が必要になる場合があります。

事例3:支店から本社勤務に変更 → 届出忘れで指導

ベトナム出身のCさんは、関西にある大阪支店で勤務予定として在留資格認定を申請し、「技術職」でビザが交付されました。ところが、社内事情により配属先が東京本社に変更。

業務内容自体は大きく変わっていなかったものの、「活動機関(勤務先)」が変更になったにもかかわらず、入管への届出を怠っていたため、更新申請時に「無届による指導」を受けました。結果的に更新許可は下りましたが、審査期間が通常よりも1か月以上長引きました。

🔍 ポイント: 配属先が変わった場合、「活動機関に関する届出書」の提出は義務です。

事例4:契約社員 → 業務委託契約へ切り替えで不許可

Dさん(バングラデシュ出身)は、大学卒業後に契約社員として中小企業に内定を受け、ビザもその内容で申請・許可を受けました。しかし、企業の都合により、雇用契約ではなく「個人事業主との業務委託契約」に変更されてしまいました。

更新時に契約書と収入証明を提出したところ、入管から「雇用契約が存在しない」「主たる活動が申請内容と異なる」と判断され、更新は不許可に。Dさんは不服申し立ても行いましたが、結果は変わらず帰国となりました。

🔍 ポイント: 就労ビザは「雇用契約」が前提。業務委託やフリーランス契約では原則として認められません。

これらの事例からもわかるように、勤務先や職務内容の変更は、在留資格に直結する重大な変更です。形式的な変更でも、入管から見れば「虚偽申請」と見なされるおそれがあります。変更があった場合は、必ず入管への届出・相談を怠らないようにしましょう。

企業がすべき対応

  1. 採用時点で配属先・職種・契約形態を明確に記録しておく
  2. 配属先や職務内容が変わる場合は、事前に入管へ「理由書」等を添付
  3. 勤務先が変わる場合は「活動機関に関する届出書」を速やかに提出
  4. 形式的な雇用ではなく、実態を重視する申請書類を整備
  5. 本人にも「変更は入管に報告が必要」と周知しておく

よくある質問(FAQ)

配属変更のたびにビザを取り直さなければならないの?

変更内容が軽微(支店→本社など)で、職務内容も同一なら変更届のみで済むことが多いです。ただし、法人が異なる場合や、業務内容が大きく異なる場合は注意。

グループ会社内で異動した場合も問題になりますか?

登記上の法人が異なる場合、たとえ親会社・子会社であっても「別会社」と見なされ、入管審査では新たな申請が必要になることがあります。

派遣先や業務委託先が変わった場合はどうなる?

就労ビザは「雇用契約」が前提のため、業務委託契約だけでは原則として認められません。派遣も受け入れ先の業務が申請内容と一致していないと不許可になります。

すでに変更してしまった場合はどうしたらいい?

速やかに「活動機関に関する届出」を行い、必要に応じて「在留資格変更申請」も検討しましょう。放置すると次回更新で不許可になる可能性が高まります。

まとめ:配属変更時の在留資格対応チェック

Success

✅ 配属先の変更があれば、内容と理由を整理して入管への説明を準備
契約形態や職務内容の変更があるなら、在留資格変更申請を検討
「活動機関の変更届出書」は忘れず提出
✅ グループ内異動でも法人番号を確認し、「別会社扱い」に注意
✅ 外国人本人にも「勝手な変更はリスクがある」ことを説明し、理解を得ておく