コラム

海外からのリモート勤務でもビザは必要?最新入管基準と在宅採用の注意点【事例付き解説】

コロナ禍以降、海外在住の人材をリモート勤務で採用する企業が急増しています。物理的な出社が不要な職種(ITエンジニア、デザイナー、翻訳など)では、世界中から優秀な人材を確保できるメリットがあります。しかし、この「海外リモート勤務」にも就労ビザ(在留資格)が必要になるケースと不要なケースがあることをご存じでしょうか。

本記事では、海外リモート勤務と就労ビザの関係、最新の入管審査基準、そして企業・外国人双方が注意すべき契約や申請のポイントを詳しく解説します。

海外リモート勤務と就労ビザの基本ルール

まず押さえておくべきは、「日本国内で働く場合には、就労可能な在留資格が必要」という原則です。
海外在住で、日本の企業と契約し、海外からのみ勤務する場合は、原則として日本の在留資格は不要です。

一方、以下のような場合はビザが必要になります。

  1. 一時的でも日本国内で業務を行う場合(例:研修や打ち合わせのために来日)
  2. 長期的に日本に滞在しながら業務を行う場合
  3. 日本国内での活動実態が主となる場合(出社義務、国内顧客対応など)

つまり、「勤務地」と「活動の主たる場所」が日本国内か海外かが、就労ビザの必要性を分けるポイントになります。

2. 最新の入管審査の動向(2024〜2025年)

近年の入管審査では、契約書や勤務形態の記載が曖昧な場合、「就労実態がどこで発生しているか」を重点的に確認する傾向があります。特に、コロナ禍で増えた在宅勤務・ハイブリッド勤務のケースでは以下が注目されます。

  1. 契約書の勤務場所欄(「日本国内」と記載があればビザ審査対象に)
  2. 出社義務や会議参加のための渡航頻度
  3. 給与支払元(日本法人か海外法人か)
  4. 就業規則や雇用契約の整合性

入管は実態重視で判断します。たとえ「海外勤務」と書かれていても、実際は日本に長期滞在している場合、不法就労とみなされる可能性があります。

実際にあった事例

事例1(2024年):海外在住デザイナーの短期来日トラブル

フィリピン在住のグラフィックデザイナーが、日本企業と契約し、フルリモートで勤務していました。2024年3月、プロジェクト打ち合わせのために短期滞在ビザで来日しましたが、入管審査時に「業務内容が短期滞在の範囲を超える」と指摘され、再入国時に入国拒否となりました。
→ 短期滞在ビザでは、報酬を伴う就労活動は原則禁止。

事例2(2025年):ハイブリッド勤務での更新不許可

ベトナム人エンジニアが「技術・人文知識・国際業務」ビザを取得し、日本と母国を行き来しながら勤務していました。2025年1月の更新申請時、勤務日数の半分以上が海外であることが勤怠記録から判明し、活動の拠点が日本にないと判断され不許可に。
→ 就労ビザは日本で活動することが前提

事例3(2024年):海外採用の正社員だがビザ却下

インド在住のシステムエンジニアを日本法人の正社員として採用予定。2024年11月に在留資格認定証明書を申請しましたが、勤務開始時点の契約内容が「在宅(インド)勤務」主体だったため、「就労活動の本拠地が海外」と判断され却下。
→ 入管は契約書の記載だけでなく、実際の勤務形態も厳しくチェック。

ビザが必要なケース・不要なケース(比較表)

勤務形態ビザ必要性理由
完全海外勤務(日本に滞在しない)不要日本国内で活動していないため
短期来日(会議・契約)条件付き無報酬の会議はOK、有償作業はNG
長期滞在しながらリモート必要日本国内での就労に該当
ハイブリッド勤務(国内50%以上)必要主たる活動が国内
外国法人雇用で日本在住条件付き契約形態と業務内容による

5. 契約書作成時の注意点(企業向け)

海外リモート勤務者を採用する場合、以下の記載に注意が必要です。

  1. 勤務場所は明確に「海外」と記載
  2. 出社義務・会議参加は原則オンラインとする
  3. 給与支払元と通貨を明記
  4. 就業規則に在宅勤務規定を追加
  5. 必要に応じて資格外活動許可や短期滞在ビザとの整合性を確認

まとめ:海外リモート勤務とビザの判断ポイント

Success

✅ 就労ビザは「日本で活動すること」が前提。海外主体の勤務は不許可リスクが高い。
✅ 短期滞在ビザでの報酬を伴う業務は原則禁止。打ち合わせ目的でも要注意。
在留資格認定申請時には、契約書・勤務場所・勤務日数の整合性が重要。
✅ 勤怠記録や通信ログも審査対象となる場合があるため、勤務実態を明確に。
✅ コロナ以降も入管のスタンスは厳格化しており、「海外ベース就労」は認められにくい。