コラム

離婚後すぐに再婚予定…『日本人の配偶者等』の切替タイミングと注意点

外国人が「日本人の配偶者等」の在留資格(いわゆる配偶者ビザ)を持っている場合、離婚や死別が発生すると、その資格を維持するのは非常に難しくなります。なぜなら、この在留資格は「日本人との婚姻関係」という事実を根拠にしているからです。

ところが、実際には「離婚後すぐに再婚予定がある」というケースも少なくありません。この場合、「新しい配偶者との婚姻を理由にビザを取り直せるのか?」「離婚と再婚の間に空白がないと入管に怪しまれないか?」といった疑問が生じます。

本記事では、離婚後の再婚・再申請に関する注意点や判断材料を解説し、実際の事例や最新の入管の動向も交えながら、申請を検討している方や支援する企業・行政書士の方に役立つ情報を提供します。

『日本人の配偶者等』ビザの基本ルール

この在留資格の大前提は「日本人と実体を伴った婚姻を継続していること」です。単に婚姻届を出しているだけでは足りず、同居・経済的扶養・生活の実態などを伴う必要があります。

  1. 婚姻の実態があるかどうか(同居記録・生活費の共有など)
  2. 離婚・死別が生じた時点で資格の根拠を失う
  3. 再婚による再申請は可能だが「離婚直後」だと厳格審査の対象になる

つまり、再婚による再申請自体は法律上可能ですが、その審査は「偽装結婚の疑い」を強く持たれる領域であることを理解する必要があります。

離婚後のステータスと申請可能性

離婚と再婚の間にどのような時間的関係があるかによって、入管の判断は大きく変わります。

  1. 離婚から再婚までに期間が空く場合
    数か月以上の空白期間があり、前婚の実態も明確に示せる場合、比較的スムーズに再申請が可能です。
  2. 離婚後すぐに再婚する場合
    入管は「前婚は本当に実態があったのか」「新しい婚姻は偽装ではないか」と重点的に確認します。再婚の早さ自体が不自然とされる可能性が高く、追加資料や面談が行われやすいです。
  3. 在留期限が迫っている場合
    再婚手続きが間に合わない場合は、「定住者」や「短期滞在」への一時的切替を経てから改めて申請することが検討されます。

具体的事例

※実際に起きたケースを参考に、一般化・匿名化して解説した例です。

事例①:離婚後2か月で再婚し、追加審査に時間がかかったケース

フィリピン出身のAさんは、日本人男性と数年間結婚生活を送りましたが、性格の不一致により離婚。離婚から2か月後、以前から交際していた別の日本人男性と再婚しました。
在留資格「日本人の配偶者等」の更新期限が迫っていたため、再婚後すぐに新しい夫を基準に申請を行いました。

しかし入管は「離婚から再婚までの期間が短すぎる」として慎重に審査。Aさんに対しては以下のような資料を求めました。

  1. 前夫との同居を証明する住民票や光熱費の支払い記録
  2. 結婚生活中の写真や旅行記録
  3. 離婚理由を説明した理由書
  4. 新しい夫との交際が本物であることを示すLINEやメールの記録

結果として、許可は出ましたが、審査は通常の2〜3か月ではなく6か月以上に及びました。Aさんは在留カードの更新がギリギリとなり、不安な期間を過ごしました。

事例②:離婚直後に再婚して申請したが不許可になったケース

中国出身のBさんは、日本人女性と婚姻して「日本人の配偶者等」を持っていましたが、夫婦仲が悪化して離婚。その直後、別の日本人女性と婚姻届を提出しました。
離婚と再婚が同じ月に行われたため、Bさんは「すぐに再申請できる」と考えて入管に書類を提出。

しかし、入管は前婚の婚姻実態を詳細に調べ、次のような疑義を持ちました。

  1. 前婚の期間が短く、同居の事実が薄い
  2. 離婚と同月に別の日本人と再婚しており、不自然
  3. 新しい配偶者との交際期間が短い

結果、申請は不許可。Bさんは在留期限切れが迫っていたため一度帰国。その後、再婚相手と共に海外から再度「在留資格認定証明書」を申請し直す必要がありました。大きな精神的・経済的負担となったケースです。

事例③:一時的に『定住者』へ切替し、その後再婚したケース

タイ出身のCさんは、日本人の妻と離婚しましたが、すでに新しい交際相手(日本人)がいて結婚を考えていました。ただし、離婚後すぐに再婚すると入管に不自然と疑われることを懸念。行政書士に相談した結果、まず「定住者」ビザへ切替を行いました。

Cさんはその後半年間「定住者」として在留し、その間に新しい交際相手と同居生活を開始。結婚式や家族行事なども重ね、生活の実態を積み重ねました。そのうえで正式に再婚し、改めて「日本人の配偶者等」へ変更申請。
申請時には、

  1. 前婚の実態を示す住民票や生活費証明
  2. 新しい配偶者との交際歴(旅行写真・同居の契約書)
  3. 婚姻後の生活設計(収入や扶養の計画)
    を提出し、入管からも「実態がある」と判断され、スムーズに許可が下りました。

このケースでは、離婚直後の再婚を避け、ワンクッションとして「定住者」を活用したことが功を奏しました。

入管が重視するポイント

入管は離婚直後の再婚・再申請について以下の点を特に確認します。

  1. 前婚の実態(同居記録、生活費、写真、親族との交流)
  2. 離婚理由(円満離婚か、DVや不和によるものか)
  3. 再婚相手との交際歴(出会いの経緯、交際期間の長さ)
  4. 再婚後の生活設計(収入・住居・扶養計画)

これらを具体的に示せるかどうかが、許可・不許可の分かれ目になります。

最新の入管動向(2024〜2025年)

近年の入管は「偽装結婚防止」を最重要視しており、離婚後短期間での再婚・申請には特に厳しい目を向けています。

  1. 離婚直後の再婚は徹底的に疑われやすい
  2. 前婚の実態を示す追加資料をほぼ必ず求められる
  3. LINEやメールの履歴、生活費の振込記録など細かい証明も必要
  4. 直接面談が行われることも増えている
  5. 定住者ビザへの一時的切替を選ぶ申請人が増加している

再婚・再申請を検討する際の注意点

  1. 離婚直後の再婚は非常にリスクが高い
  2. 前婚の実態を証明できる資料を必ず残しておく
  3. 新しい配偶者との交際歴を示せる記録(写真・メッセージ等)を準備
  4. 更新期限が迫っている場合は「定住者」や「短期滞在」への切替も視野に入れる

まとめ

Success

✅ 離婚後すぐの再婚・再申請は「偽装結婚」を疑われやすい
✅ 前婚の実態を示せるかが最大の判断材料
✅ 再婚相手との交際歴や生活設計の証明も不可欠
✅ 定住者ビザへの一時的切替は有効な安全策
✅ 入管は2025年現在、再婚申請に特に厳しい審査姿勢を取っている