コラム

外国人の社内異動でビザ変更は必要?転勤・部署異動と入管への対応【2025年最新】

1. 外国人雇用と社内異動の増加

近年、日本企業における外国人雇用は拡大を続けています。特に「技術・人文知識・国際業務(通称:技人国ビザ)」で働く人材は、企業の国際化やDX推進の中核を担う存在です。
しかし、外国人社員が 転勤・出向・部署異動 をする場合、就労ビザ(在留資格)の変更や入管への届出が必要になるケースが増加しています。
入管は近年、企業内での職務変更にも厳しく目を光らせており、「配置転換だから大丈夫」と安易に考えると、不許可や在留資格取消しのリスクさえあります。本記事では、最新の入管動向(2024〜2025年)を踏まえつつ、よくある具体的な事例を交えて解説します。

2. 就労ビザと職務内容の関係

在留資格の根本は「活動内容」と「雇用契約内容」が一致していることです。
例えば「技術・人文知識・国際業務」の場合、ITエンジニア・経理・通訳など 専門的な業務が該当します。
つまり、単純作業や技能資格外の業務に配置転換されると、在留資格違反になる可能性があります。

異動における留意点は大きく3つです。

  1. 勤務地の変更(東京本社から大阪支社など)
  2. 職務内容の変更(エンジニア→営業事務など)
  3. 雇用契約先の変更(親会社→子会社への出向など)

これらのいずれかがあれば、ビザ変更または入管への届出が必要になる場合があります。

3. 具体的事例(5つ)

※実際に起きたケースを参考に、一般化・匿名化して解説した例です。

事例1:東京本社から大阪支店への転勤

あるメーカーの外国人社員(インド出身・技術・人文知識・国際業務ビザ保持)が、東京本社から大阪支店への転勤を命じられました。
職務内容は同じ「経理業務」でしたが、勤務地が変更になるため、入管には「勤務先の所属機関に関する変更届出(入管法第19条の16)」を提出する必要がありました。

企業側がよく勘違いするのは「同じ会社だから届け出不要」という点です。実際は拠点の住所が変わると、所属機関に変更が生じた扱いになるため、転勤から14日以内に入管へ届出をしなければなりません。
このケースでは、人事部が期限を過ぎてから気づき、慌てて行政書士に依頼して書類を準備しました。幸い罰則には至らなかったものの、「遅延理由書」を添付するよう入管から指示があり、リスク管理の重要性が浮き彫りとなりました。

事例2:営業職からマーケティング職への部署異動

フィリピン出身の社員が、営業部からマーケティング部に異動しました。会社は同じでも、職務内容が「顧客対応からデータ分析・企画業務」へと変わりました。
本人の在留資格は「技術・人文知識・国際業務」であり、理論上はマーケティングも業務範囲に含まれるのですが、職務内容の変更が著しいと「ビザの活動内容が変わった」とみなされるリスクがあります。

このケースでは、入管が「新しい職務内容と、これまでの業務経験との関連性」を確認。大学時代に統計学を専攻していた経歴と、これまでの営業経験を活かした市場分析であることを説明し、追加の職務記述書を提出して許可を得ました。
→ ポイントは、異動内容が資格の範囲に含まれるかどうかを証明する書類作りが必要になることです。

事例3:グループ会社への出向

ネパール人エンジニアが、親会社からグループ会社(別法人)へ出向するケース。
勤務地も上司も変わり、給与の支払い元がグループ会社になったため、これは単なる部署異動ではなく「所属機関の変更」にあたります。

そのため「在留資格変更」ではなく「在留資格取得のやり直し」に近い扱いとなり、所属機関の資料(登記事項証明書・決算書・事業内容説明書など)を新しく提出しました。
この時、出向元と出向先の関係性を示す契約書やグループ構造の図解を添付することで、スムーズに許可が下りました。
→ グループ会社間の異動は“軽い異動”ではなく、入管にとっては“転職”に近い扱いになる点に注意です。

事例4:海外支店から日本本社への転勤

ベトナムの支店で勤務していた社員が、日本本社へ転勤してくるケース。
この場合、単なる「異動」ではなく、新たに日本で活動するための「在留資格認定証明書交付申請」を現地で行い、ビザを取得してから来日しました。

このとき問題となったのは、現地での役職と日本での役職の差です。ベトナムでは管理職扱いでしたが、日本では一般社員スタートだったため、入管から「実際の活動内容は何か」「待遇は不当に低くないか」といった照会がありました。
会社が就業規則・給与規定を提示し、「全社員の処遇と一貫性がある」ことを示すことで、無事に許可が下りました。

事例5:研究職から事務職への異動

中国人研究員が、研究開発部門から人事部に異動するケース。
在留資格は「研究」でしたが、新しい職務は人事採用担当。これは完全に「研究」の活動内容から外れているため、在留資格変更申請(研究 → 技術・人文知識・国際業務)が必要となりました。

申請時に大学の研究実績や論文などは不要になり、代わりに「採用担当としての業務内容書」「必要な語学力・知識」「大学専攻(心理学・社会学など)の関連性」を示す書類を提出。
結果として変更許可が下りましたが、もし申請せずに異動していた場合、資格外活動違反となる可能性がありました。

👉 このように、「同じ会社内だから問題ない」と思い込みやすい異動も、入管から見れば“活動内容の変更”や“所属機関の変更”にあたるケースが多いのが実態です。異動の度に、「届け出で済むのか」「変更申請が必要なのか」を判断することが重要です。

4. 最新の入管動向(2024〜2025年)

  1. 監視強化:入管は「名目上は技人国だが、実態は単純労働」というケースを厳しく取り締まっています。
  2. 届出義務の周知徹底:企業が「異動だから申告不要」と誤解して放置する事例が多く、最近は届出違反で行政指導を受ける企業も出ています。
  3. 審査の厳格化:特に「出向」「業務転換」は、就労資格外活動や資格変更が必要とされるケースが増加。

5. 実務での対応ポイント

  1. 社内異動のたびに、在留資格の活動範囲と照合する
  2. 勤務地・職務・雇用契約のいずれかが変わる場合は必ず法務チェック
  3. 届出は2週間以内が原則(住居地変更・受入機関変更)
  4. 異動内容がグレーな場合は、事前に専門家に相談

6. まとめ

Success

✅ 異動が「勤務地変更のみ」なら基本的に問題なし

✅ 職務内容変更は要注意、専門性が薄れると違反リスク

✅ 出向・子会社移籍は「受入機関変更届」が必要

✅ 住居変更があれば「在留カード変更届」を忘れずに

✅ 企業側が放置すると「不法就労助長罪」に問われる可能性も